DATオーディオの再発見!デジタル化で新たな生命を吹き込む!
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目次
DATについて
Digital Audio Tapeをご存じでしょうか?文字通りデジタルでテープにオーディオ信号を記録再生するフォーマットで、1987年に登場しました。そのとき既にオーディオ界ではCDが広く普及していて、デジタルの素晴らしさがオーディオブームに拍車をかけている真っただ中でした。
CDは読み取り専用の読み取り専用のフォーマットで、いわば従来のレコードの後継的な存在でした。いまではCD-Rとして記録もできるようになりましたが、1987年当時、録音フォーマットとして存在していたのは旧来のアナログ方式のカセットデッキやオープンデッキが主流でした。
出鼻をくじかれたDAT
そんな状況の中、Digital Audio Tapeは夢の録音機として華々しく登場するはずでした。ハイクオリティなデジタル方式であるがゆえ、CDからのデジタルコピーを禁止することでようやく発売にこぎつけたのですが、「DATはCDから録音ができないらしい。」という誤った情報が伝わってしまい、素晴らしいフォーマットであるにも関わらず出鼻をくじかれてしまったのです。
DATは高音質
DATの音質の良さや機能性、耐久性の高さは一般のオーディオマニアのみならず音楽や放送の業界からも高く評価され、ひそやかに、しかし着実に広まっていきました。音の違いが分かる高感度のオーディオマニアはこぞってDATを所有したものです。しかし、IT技術の進化は目覚ましいもので、オーディオフォーマットの高音質化と高機能化という相反する要素を見事に両立しながら、旧来の物理フォーマットをことごとく過去のものにしていきました。いまでは音楽を楽しむためにはテープフォーマットはもとより光学ディスクさえも不要となりつつあります。気軽に高音質で音楽を楽しめるのはとても素晴らしいことですが、ベテランオーディオマニアとしては一抹の寂しさを感じてしまいます。
DATからデータを抽出
DATに夢中になったベテランの皆様は、当時のDATテープが今も手元に残っているのではないでしょうか。でも、DATデッキはとうの昔に壊れてしまって処分してしまった…。青春の音楽が封印されているDATテープ。どうにかして音楽データを取り出したい。そんな方々に向けて、DATテープからデータを抽出してデジタル音源化する方法をご紹介します。
なお、最初にお断りしておきたいのですが、今DATテープからデータを抽出するのはかなりハードルが高い作業になります。そして、それなりの出費と相当の時間がかかることも知っておいてください。
DATデッキの入手
過去のフォーマットからデータを抽出するためにはデータの読み出しができるハードウェアが必須です。DATは現在において良質なハードウェアの入手が最も困難なフォーマットのひとつです。オーディオブームが再燃している昨今、レコードやアナログカセットのプレーヤーやデッキは比較的簡単に入手できますが、DATデッキは現行では生産されていないため新品の入手は不可能に近く、さらに中古の流通量も少ない状況だからです。しかし、ハードウェア(DATデッキ)を手に入れることはデータの抽出のためには絶対に避けて通れません。
中古のDATデッキ
では、DATデッキを手に入れるにはどうしたらいいのか。ズバリ、中古のDATデッキを購入しましょう。中古であれば、機種や状態を選ばなければ手に入れることはそれほど難しくありません。
また、DATデッキは消耗部品が多く使われているため、初期状態で現在も可動していることは稀で、修理やメンテナンスはほぼ必須です。ただ、適切なメンテンスをおこなえる技術者が減っているため、状態のバラつきが非常に大きいのが実情です。そのため中古DATデッキは、信頼のおける中古オーディオショップで購入することを強くお勧めします。そして、できれば店頭で現物を実際に見てから購入するのが安心です。
あと、ネットオークションで「整備品」と称して出品されているものは絶対に避けるべきです。仮に適切にメンテナンスされていたとしても、中古のDATデッキは不安定な要素が多いので、アフターフォローのないネットオークションは避けるのが賢明です。
メカの状態
DATが現役だったころは様々な機種が発売されており、それぞれクオリティーの違いをアピールしていました。DATはデジタルフォーマットですが録音と再生回路の半分はアナログで、そのアナログの回路によってクオリティーに大きな違いがでます。もちろんデジタル回路も大切ですが、アナログ回路はコストがかかるためハイエンド機種はアナログ回路が特に充実しているのです。しかし、データの抽出にはアナログ回路はそれほど重要ではありません。データを抽出するためにはメカの状態が最も重要です。つまり、使い込まれたハイエンド機よりも、使用頻度が少ないローコスト機のほうを選んだほうがいいです。さらに発売年代も初期よりも後期の機種のほうがメカの状態がいい場合が多いので、その点も気にしたほうがいいでしょう。
DATのデータをパソコンに取り込む
DATデッキを入手したらデータをパソコンに取り込みます。デジタルのまま取り込むのが理想ですが、DATにはコピーガードがかかっていることがあり、デジタルのまま取り込みができないこともあります。ただ、コピーガードがかかっていてもアナログで取り込むことは可能です。まずはデジタルのまま取り込む方法を試してみて、うまくいかないときはアナログで取り込むといいでしょう。
DATデッキのデジタル出力はCDと同じSPDIFというオーディオでは有名な伝送フォーマットです。SPDIFは一般的には「光デジタル」や「同軸デジタル」といわれています。DATデッキとパソコンを接続してデータを抽出するわけですが、SPIDFが搭載されたパソコンは意外と少ないので、その場合は「光デジタル」や「同軸デジタル」の入出力がついたUSBオーディオインターフェースを用意しましょう。
SCMSについて
DATはデジタルコピーを一定の条件で制限したSCMS(Serial Copy Management System)に準拠しています。初期のDATでSCMSに準拠していない機種があり、それらで録音したテープもコピー禁止の場合がありますので注意が必要です。
SCMSによりCDをデジタルコピーしたDATは孫コピーができません。もちろんパソコンへデジタルのままデータを抽出することもできません。BSアナログ放送の音声をデジタル録音したDATは一世代のみ孫コピーができます。またアナログで録音したDATは無制限でデジタルコピーができます。デジタルコピーができないときはSCMSの制限だと思ってください。その場合は前述したようにアナログ接続でデータ抽出しましょう。
DATの録音モード
DATの録音モードは標準モードとLPモードがあり、標準モードは48kHzまたは44.1kHz/16bitのリニアPCMで記録されています。LPモードでは32kHz/12ビットの非直線モードで記録されるため、データ抽出してもパソコンなどで再生できないことがあるため注意が必要です。LPモードのテープもアナログ接続でデータ抽出するのがいいでしょう。
データの抽出手順
データの抽出の手順はまずパソコン側で録音ソフトを起動して、SPDIFからの入力を受けられることを確認します。録音ソフトはUSBオーディオインターフェースにバンドルされているものや、自分で使い慣れたものを使うといいでしょう。筆者はフリーソフト「SoundEngine Free」をよく使っています。なお、録音設定はリニアPCM(wav、aiff)にしておきます。
次にDATデッキでテープを再生してパソコン側で録音を開始します。抽出時間は再生時間と同じですので音をモニターしながら待ちます。モニターしながら音途切れが発生していないことを確認するとなおよいでしょう。
抽出が完了したら
抽出が完了したらあとは通常のデジタル音源とまったく同じです。スマホなどの最新の再生機で楽しんだり、パソコンで編集したり、CDに焼いたりして楽しんでください。