コピーガードのあるVHSやDVDはダビングできる？著作権法との関係や解除方法も解説
コピーガードがかかっているVHSやDVDを所持しており、ダビングできず困っている人もいるのではないでしょうか。そもそも、コピーガードがかかっているものをダビングしてよいか悩んでいる人もいるでしょう。
VHSやDVDのコピーガードを解除してダビングすることは、著作権法で禁じられている行為です。ダビングしたいと考えていても、コピーガードがかかっているならダビングすべきではありません。
本記事ではコピーガードの役割や著作権法との関係、解除方法などを解説します。コピーガードのかかったVHSやDVDをダビングしたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
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目次
著作権・コピーガードがあるVHSやDVDはダビングできる？
著作権・コピーガードがあるVHSやDVDをダビングできるかは、以下の2パターンで異なります。
- あなた以外が著作権を保有する映像が記録されたVHSテープをご自身でDVDダビングする場合
- あなた以外が著作権を保有する映像が記録されたVHSテープをDVDダビング業者がDVDダビングする場合
| あなた以外が著作権を保有する映像(テレビ番組等)が記録されたVHSテープ | コピーガードがかけられた左記のVHSテープ | |
|---|---|---|
| ご自身でDVDダビング | ※個人的又は家庭内等で楽しむ目的の範囲 |
※著作権者に許可を得ればOK |
| 業者にDVDダビングを依頼 | ※著作権者に許可を得ればOK |
※著作権者に許可を得ればOK |
それぞれのパターンでの著作権法との関係を解説します。知らずに法律に違反してしまうことがないよう、ぜひ参考にしてください。
あなた以外が著作権を保有する映像が記録されたVHSテープをご自身でDVDダビングする場合
例えば、個人的に映像を楽しむ目的のために、ご自身で、映画やテレビ番組等が記録されたVHSビデオテープのDVDダビングをする場合はどうでしょうか。
（私的使用のための複製）
第三十条 著作権の目的となつている著作物（以下この款において単に「著作物」という。）は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること（以下「私的使用」という。）を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
以上のことから、平たく言いますと、次の場合には、原則として著作権法違反にはなりません。
①個人的に映像を楽しむ目的で ②ご自身でDVDダビング
ただし、私的使用のための複製にもいくつかの例外があり、「技術的保護手段の回避」もその一つとされています。
技術的保護手段の回避（第二条第一項第二十号に規定する信号の除去若しくは改変その他の当該信号の効果を妨げる行為（記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約によるものを除く。）を行うこと又は同号に規定する特定の変換を必要とするよう変換された著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像の復元を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすること（著作権等を有する者の意思に基づいて行われるものを除く。）をいう。第百十三条第七項並びに第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。）により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
すなわち、VHSテープにいわゆるコピーガードがかけられている場合、それを解除してDVDダビングをすることは、著作権法違反となる可能性があります。
ただし、著作権者から許可を得ることができれば、そのようなVHSテープのDVDダビングも可能となります。
結婚式、学校、幼稚園の映像等、思い出の映像が記録されたVHSテープにコピーガードがかかっている場合には、制作会社等の著作権者に許可を得てから、DVDダビングをするようにしましょう。
テレビ番組を録画したVHSテープ等には、通常コピーガードもありませんので、個人的又は家庭内等で楽しむ目的であれば、DVDダビングをすることも、原則として著作権法違反ではありません。
文字が多く難しい内容かもしれません。最後に表でまとめてありますのでご参照ください。
あなた以外が著作権を保有する映像が記録されたVHSテープをDVDダビング業者がDVDダビングする場合
では、個人的又は家庭内等で楽しむ目的のために、DVDダビング業者に対して、映画やテレビ番組等が記録されたVHS テープのDVDダビングを依頼する場合はどうでしょうか。
もう一度以下の条文を確認してみましょう。
（私的使用のための複製）
第三十条 著作権の目的となつている著作物（以下この款において単に「著作物」という。）は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること（以下「私的使用」という。）を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
ところで、DVDダビングに関する事例ではありませんが、顧客からの求めに応じて、スキャナで書籍を読み取ってPDF等の電子ファイルを作成し、それを顧客に納品するという、いわゆる自炊代行業者による書籍の複製について、知的財産高等裁判所平成26年10月22日判決(判例時報2246号92頁)が存在します。
この判決は、要旨、①自炊代行業者による書籍の複製は、営利目的であって「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する……目的」ということができず、また、②電子ファイルを私的使用する者は顧客であるため、「その使用する者」による複製にも該当しない、と述べています。
DVDダビング業者についても、この判決と同様の理由が当てはまると考えられます。
すなわち、まず、DVDダビング業者は、営利目的でVHS テープのDVDダビングを行っていますから、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する……目的」ということはできません。
また、DVDダビング業者は、顧客からの求めに応じてVHS テープのDVDダビングを行うにすぎず、映像を実際に視聴する者ではありませんので、「その使用する者」による複製にも該当しません。
したがって、DVDダビング業者による映画やテレビ番組等が記録されたVHS テープのDVDダビングは、私的使用のための複製とは言えず、著作権法違反となります。
以上を理由として、ほぼ全てのDVDダビング業者は、Webサイトに「あなた以外が著作権を保有する映像の複製はお断りさせていただきます」といった文言を記載していると思います。
そのため、あなた以外が著作権を保有する映像が記録されたVHSテープについては、ご自身でDVDダビングをすることをお勧めします。
ただし、その場合でも、すべてのDVDダビングが、私的使用のための複製として著作権法により認められるわけではありませんので、注意が必要です。
ご自身でVHSテープのDVDダビングをする場合は、以下の記事が参考になります。
そもそもVHS・DVDのコピーガードとは？
VHS・DVDにかけられているコピーガードとは、著作権のあるコンテンツを第三者が無断で複製できないよう保護するための仕組みです。
「コピープロテクション」や「コピープロテクト」とも呼ばれ、信号や暗号などを用いてVHS・DVDに記録されたデジタルデータの複製を防ぎます。コピーガードにはデジタルデータを暗号化するものやデータの読み込みを妨害するものなど、さまざまな種類があります。
テレビ番組や映画、音楽などの映像や音声のコンテンツは、著作権法で保護されている著作物です。しかし、デジタル技術が進歩・普及するなかで、コンテンツの録画や複製を誰もが簡単にできるようになりました。
これにより、私的利用の範疇を超えた複製や、「海賊版」と呼ばれる著作権を侵害する違法コンテンツの配信・頒布などが行われるようになったのです。
コピーガードがかけられているのは、市販されているVHSやDVDだけとは限りません。プライバシーの保護を目的として、運動会や発表会などを録画したものにもコピーガードがかけられていることがあります。
VHS・DVDのコピーガードを解除する方法
技術的な話でいえば、VHS・DVDのコピーガードは、専用機器やソフトを使用することで解除可能です。
コピーガードの種類によって対応ソフトは異なります。解除する際には先にコピーしたいVHS・DVDのコピーガードの種類を確認したうえで、対応ソフトを選ばなければなりません。
また、ビデオデッキとパソコンをつなぎ、ビデオデッキで再生した映像をパソコン上に出力して録画する方法もあります。この場合はコピーガードそのものを解除するのではなく、パソコン画面を録画することでVHS・DVDに記録された映像をコピーします。
ただし、前述の通りコピーガードを解除して複製するのは私的使用であっても違法になる行為です。VHS・DVDのコピーガードの解除は絶対に行わないようにしましょう。
レンタルしたVHS・DVDのコピーガードを解除するとバレる？
コピーガードを解除した場合、その形跡がビデオテープやDVD側に残ることはありません。
コピーガードを解除する専用ソフトは、コピーガードのプロテクトを壊したり改変したりするものではありません。コピーガードには影響しない方法でデータをコピーするため、解除したとしてもバレることはないでしょう。
ただし、前述の通りコピーガードの解除が違法行為なのは事実です。バレないとしても、また私的使用であっても、決して行ってはなりません。
市販のビデオテープをDVDにダビングしてくれるお店は存在する？
市販のビデオテープのダビングは、コピーガードの有無にかかわらず断られます。市販のものを業者がダビングすること自体が違法だからです。
前述の通り、自分以外に著作権があるビデオテープは、個人または家庭内などで楽しむ私的使用の目的でのみダビングが可能です。ダビングができるのも、私的使用する人に限られます。
ダビング業者は営利目的でダビングを行っており、「私的使用する人」にも該当しません。市販のビデオテープのダビングを引き受けると著作権法違反になるため、もしダビングを依頼されてもダビング業者は拒否するのが一般的です。
仮に受け付けている業者があるとしたら、違法な業者の可能性が高いでしょう。ダビングを依頼した側も罪に問われる可能性があるため、絶対に依頼してはなりません。
コピーガードや著作権があるVHS・DVDのダビングは慎重に
ご自身でDVDダビングする場合、個人的又は家庭内等で楽しむ目的の範囲であれば、あなた以外が著作権を保有する映像(テレビ番組等)が記録されたVHSテープも、原則としてDVDダビングOKです。
ただし、コピーガードがかけられているVHSテープのDVDダビングは、その場合であってもNGですので、著作権者から許可を得るようにしましょう。結婚式、学校、幼稚園の映像等、思い出の映像が記録されたVHSテープにコピーガードがかかっている場合には、制作会社等の著作権者に連絡してみてください。
他方、DVDダビング業者にDVDダビングを依頼する場合、あなた以外が著作権を保有する映像が記録されたVHSテープは、DVDダビング業者側でDVDダビングをすることができません。
この場合、DVDダビング業者側もDVDダビングをお断りすることが通常ですので、ご注意ください。
著作権については、文化庁のHP及び文化庁のHP下の関連リンクが参考になります。
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例えばなんですが、ジブリのビデオテープを買って持っていました。
それを自分が家で見るためだけにコピーをお願いする事は出来ますか？
著作権、コピーガードのあるVHSはDVDダビングできるか？
のブログ記事をご覧いただきありがとうございます。
著作権やコピーガードが施されたVHS（テレビ番組や映画など）でも、個人的にデジタル化することは可能です。
しかし専門の業者にダビングを依頼する場合、著作権が存在するVHSを自己利用目的であっても依頼すると、著作権法違反の可能性があるのでお受けすることができません。
お力になれず大変申し訳ありません。
質問失礼いたします。
昔テレビで放送されていた懐かしいアニメを録画したVHSを個人利用目的では貴社でデータ化可能でしょうか？
著作権、コピーガードのあるVHSはDVDダビングできるか？
のブログ記事をご覧いただきありがとうございます。
テレビ番組は著作権がテレビ局にあるため、お客さまが楽しむ場合でもダビング業社に依頼することは難しい状況です。
ご自身でダビングする場合はお客さまが楽しむ場合であれば可能です。
お力になれずに大変申し訳ありません。
ご自身でダビングする場合は以下のブログ記事が参考になります。
https://dubbing-copy.com/blog/8602/